京都市の碁盤の目のど真ん中にある、京都御所動物病院。
知らない動物病院だけど気になる、どんな獣医師がいるの?と皆さん不安になりますよね。
取材前に「本音で語りますね」とおっしゃっていた滝内院長に、色々聞いてみました。
静岡→北海道→青森→京都、思うのは京都に来てよかった
私の出身は静岡県の下田で、家の目の前は海で毎日のように潜っていました。
北海道の大学を卒業後は、青森県の動物病院にて勤務ですね。
雪国生活が実は長いんです。
青森での師匠は外科内科問わず日本でも著名な先生で、大変多くの事を学ばせて頂き感謝しかありません。
CTや最新の医療設備も揃っており戦争のような毎日でしたが、毎日50~80件の診察&オペと研鑽を積みました。
映画にもなった"ブサカワのわさお君"も来てましたね。
京都は、夏暑く冬寒いとなかなか手強いですが、みんなあたたかくて面白くて来てよかったなと感じています。
あとは京都は狭い……これに限りますね。
飼い主樣と私の息子が同じ学校の方もいますし、飼い主様同士が古くからのお知り合いだったりと、よく驚かされています(笑)
自分も感じるかかりつけ医の大切さ
私自身も、かかりつけの整形外科や内科の病院に通っています。
何よりも私の体のことを一番わかってくれているので、やはり安心できます。
動物たちにとっても、かかりつけ医の大切さは同じです。
動物たちの容態が急変したとき、いつも通っている病院であれば動物たちの普段の様子を把握した上で治療を進めることができ、飼い主様も安心して治療を見守っていただけるはずだと思うんです。
逆に、他の病院にかかられてる方で、たまたま急患で診察させていただいた場合は、必ず治療報告を作成し、かかりつけの獣医師に報告させてもらっています。
要は、その子が楽になり飼い主様が安心できればいいのですから。
今の時代にあった病院作り
次亜塩素酸による除菌消臭など、人間のクリニックのような雰囲気をイメージしました。
初めて来られた方はよく驚かれます。
でも私自身なら、不衛生そうな病院に大切な家族を連れて行きたくないんです。
また、病院専用LINEを導入したことで、飼い主様がよく連絡をくださるのは意外でした。
電話で話すのは私は全然いいのですが、二の足を踏む飼い主様が多いです。
でもLINEだと気軽に相談や様子を教えてくれますので、退院後などもこちらも安心できるんですよね。
もちろんお電話でも大丈夫です。
コミュニケーションを密に取れるよう心がけています。
動物の容態は待ったなし
緊急を要する場合は、時間外や休日の診療にもできる限り対応しています。
当院は往診での診察にも力をいれており、京都市内で幅広く通常診療はもちろん、予防医療から終末期医療まで、ペットたちの一生に寄り添える取り組みを行っています。
飼い主様の事情でどうしても通院が困難になった場合にも、往診での対応も行っています。
飼い主様にも一緒に頑張っていただき、動物たちの負担を減らす
実は動物医療って、人医療の小児科診療とよく似ているんです。
ご心配される飼い主様が『親御様』、病気になっている動物が『お子様』と置き換えることができます。
症状を明確に話せない、だからこそ飼い主様にとっても動物たちにとっても負担を少なく、いち早く治療してあげたいと思っています。
診察の翌日、遅くても3日以内には再診をお願いすることがあります。
もちろんしっかりと治療方針はご相談させていただきます。
治療や処方させていただいた薬によって症状がどの程度改善しているか、場合によっては他の薬を選択したりした方がより効果的な場合もあります。
飼い主様にもご協力いただき、治らないのにダラダラと何度も病院に来ることがないように、最善最短で治してあげたいと日々努力しています。
結果的に、その方が確実に、飼い主様の負担(経済的な医療費など)と動物たちの負担(肉体的・精神的な部分)の両方を減らすことにつながります。
人医療と同じく常に最先端医療を
学会や大学病院で出来るだけ最新の知識を吸収して、診療に取り入れています。
友人知人と飲みに行っても、結局は治療法の議論になっていることもしばしばですね。
また近年多い歯科疾患の一つとして歯石除去がありますが、人間の歯科医師と連携し治療しています。
これは私ぐらいかもしれません。
私自身、歯科医師より指導を受けて、より良い機器があれば人間用の歯科機械を導入しています。
ただ歯石を除去する、抜歯するということだけではないように、術後のケアについてもしっかり相談させていただきます。
いわゆる二次診療であるCT/MRI検査や放射線治療などは、懇意にさせていただいている専門病院や大学病院をご紹介させていただきますが、密にその獣医師と連携を取ることで、万全に当院でアフターフォローが万全にできるようしております。
動物医療と人医療は同じようにあるべきだと考えています。
検査は全て可視化、見学可能な全面ガラス張りの手術室
手術の様子を見守っていたいという飼い主様のご希望があれば、ガラス越しに手術の様子をご覧いただけます。
確かに大変珍しい施設です。
エコー検査も、飼い主様の目の前で一緒に画面を見ながら説明しています。
検査にしても手術にしても、飼い主様にオープンにお見せ出来て当然と考えていますし、見られて困ることは何一つありません。
どんな所で手術するのか見たいと、まず見学される方も多いですね。
実はガラス張りにする事で、こちらも院内を絶えずキレイに保たなければという緊張感が持てるというメリットがあるんですよ。
全ての手術時間をなるべく短く、そして安全にしたい
発売されている機器の中でも最上位機種であるMaxium®という機器を導入しています。
手術時には糸で結んで出血を止めるという作業があり、それがオペで時間がかかる要因でした。
この機器によりその時間ロスがなくなり、さらに確実な止血が行えるため、手術を迅速かつ効率的に行うことができます。
つまりは手術時間を大幅に短縮出来ますし、麻酔時間も短くなる事で動物たちの体への負担を減らすことができるのでメリットしかありません。
もちろん、日々の去勢避妊手術から他の専門的な手術にも使用しています。
検査機器の充実、ICUの設置
すべては動物たちの命を守るためにという思いからです。
どんな子にもベストな治療をしてあげたい。
そうなると院内で即座に検査結果を測定できる検査機器類と、ICU(集中治療室)は必須でした。
手術後に安静が必要な場合や、心臓や肺の状態が悪化した動物たちにとって、高濃度の酸素を供給できて、温度もコントロールできるICUは速やかな処置を行うためには、マストな設備です。
病気を発症する前に未然に防ぐ病院”であるために
病気を早期発見するだけでなく、動物の体の状態を正確に把握することで、病気を発症する前に未然に防ぐ。
治すことはもちろんですが、“動物が病気になるのを防ぐ”動物病院でありたいと思っています。
そのため、飼い主様には、継続的かつ定期的な検診をおすすめさせていただいております。
京都御所や鴨川河川敷のすぐ近くという便利な立地にありますので、散歩のついでなどにもお気軽にお立ち寄りください。
なんでも笑顔で話してくださったのが大変印象的だった滝内院長。
真面目な事をお話しになりながら、時折ユーモアも混ざっていてお腹が痛くなりました。
私も愛犬ぱとらを連れて横浜から通おうかな。。
インタビュアー:北川里香
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